見ツケテ…

あたしはジワジワと自分の背中に汗が滲んでくるのを感じた。


「恵梨佳」


「恵梨佳」


「恵梨佳」


「恵梨佳」


自分の名前が呼ばれるたび、両親の口から臭い水がしたたり落ちてきてあたしの顔を濡らす。


やだ……やめて!


そう言いたいのに、声すらでなかった。


「恵梨佳」


「恵梨佳」


「恵梨佳」


「恵梨佳」


それは本物の両親の声で間違いないのに、両親ではないと気が付いていた。