しかし、クラスメートたちはそのことを口に出さない。


それところか、人影に気が付いていないような雰囲気だ。


「ねぇ……この写真、ちょっと気持ち悪くない?」


あたしは自分からそう聞いていた。


「気持ち悪いって、どこが?」


「ほら、黒板の所」


横から確認してみると、やっぱり写真の中の黒板には人影がしっかりと写っている。


しかし、クラスメートたちは顔を見合わせて首を傾げたのだ。


「黒板がどうかしたの?」


「どうかって……」


あたしは混乱して、美奈を見た。


美奈も不思議そうな顔をクラスメートへ向けている。


「もしかして恵梨佳、この写真になにか見えるの?」


「うそ、霊感があるとか!?」


そんな風にはしゃぎだしたクラスメートたちに、あたしは慌てて左右に首を振った。


「そ、そんなんじゃないよ。ごめん、あたしの勘違いだったみだい」


そう言うと、直弘がすぐにスマホをしまってくれた。


どうやら、あの写真に写っている人影が見えているのは、あたしたちだけのようだった……。