こちらも、同じように人影が濃くなっているのがわかった。


「だんだんあたしたちに近づいてきてるってことなのかな……」


あたしはそう呟いた。


「そうだとしても、あたしたちはなにもしてないよね? 悪いのは館下先生なのに、どうして!?」


美奈が悲鳴に近い声で訴える。


「館下先生が、直接あの池に行けばいいのかもしれない」


そう言ったのは知樹だった。


「俺たちはあの池に行った。だけど、館下先生は事件後池を訪れていないんじゃないか?」


そうかもしれない。


あたしたちはあの霊がこの世にとどまり、悪霊のようになってしまってから池を訪れてしまったのだ。


しかも、あたしたちは館下先生に近しい人物だった。


悪霊からすれば、思ってもいない好機だったに違いない。