目の前が涙で滲んで歪む。


足がもつれ、すぐ隣の保健室までが遠かった。


「恵梨佳!?」


あたしの悲鳴に驚いて出て来た知樹を見た瞬間、あたしはなにかに足を取られて派手に転んでいた。


「大丈夫か!?」


知樹がすぐに助け起こしてくれる。


震えるあたしが見たものは、トイレの入り口前に置かれている木片だった。


「なんでこんなろことに木の棒があるんだ?」


知樹が首をかしげている。


トイレに入る前には確かになにもなかったのに……。


倒れた先を確認してみると、そこには釘が突き出た木の棒が置かれていた。


もしも、これに突き刺さっていたら……?


あたしはゴクリと唾を飲み込んで、知樹に縋り付いたのだった。