見ツケテ…

トイレは保健室を出てすぐの左手に合った。


中へ入ると誰の姿もなく、あたしは一番奥の個室で用を足して出て来た。


直弘の手当ては終わっただろうか。


そう思いながら洗面台の前に立ち、水を出す。


そして手を洗い始めた時だった。


アアアアアアアアアア!!


あの声が、遠くから聞こえて来たのだ。


あたしは手を水に濡らしたままで硬直してしまった。


確かに聞こえてくる声。


だけど、それがどこから聞こえてくるのかわからなかった。