「いいの?」

「いいとか悪いとか、私が決めることじゃないし……」



菜乃ちゃんが眉をしかめて声をひそめる。


「……永遠くんのこと、好きなんじゃないの?」

「好きじゃ、ない、たぶん」




煮え切らない私の返事に、菜乃ちゃんがまだ何か言おうとした時、ちょうどパンフレットをもらいに来た中学生がいて。

こんにちは、とパンフレットを渡し始めた私に、菜乃ちゃんは府に落ちない顔のまま作業に移った。



パンフレットを配るのは一応シフト制で、今は私の番。

受験を考えているからと文化祭に来る中学生は思っていたよりも多くて。パンフレットを配るのって、もっと暇だと思ってたんだけどなぁ。