氷点下できみを焦がしたい




「ついでだからちょうどいいや。
お前いつも俺のこと見てるだろ」


「え……」


「諦めろ、面倒だから。
俺はお前なんか好きにならない」


「ひ、ひど……」



なんだか、何が起きたのかわからない。
分からないけれど、目の前にいるこの人が酷い人だってことだけはわかる。

私の気持ち、面倒だって言った…。



「酷いのはどっちだよ。俺に理想ばっかり押し付けて」

「え……」

「本当の俺はこんなヤツだよ」



本当の、永遠くん。
みんなが王子様だって思ってる永遠くんは偽物で、この冷たい永遠くんが本当だってこと……?



「どうして猫被ってるの……?」

「お前には関係ないだろ」



冷たい言葉が私の心に刺さる。
誰なの……?この人は、誰?


「このことはバラすなよ。
……まあ王子様の裏の顔なんて言っても、誰も信じないと思うけど」



口角を片方だけ上げて、意地悪な顔で笑う王子。

初めて見たその笑顔は、なんだかいつもの王子様スマイルよりも人間らしくて。

不覚にも、冷たくて残酷な彼の笑顔にドキッとしてしまった。