『笹木さん』って、呼んだ。
王子様の笑顔で。
本当じゃない永遠くんで。
……私とはそういうのじゃないって、言った。
思っていたよりずっと苦しくて、じわりと目に涙が浮かぶ。
こんな通学路で、泣くな……!
必死で堪えていると、偶然、永遠くんが後ろを振り返った。
「っ……」
一瞬、交わった視線。
泣きそうな顔の私を見て、驚いたように目を見張って、それから目をそらした永遠くん。
……もう、だめなのかな。
私のこと、好きになってくれないのかな。
そうだよね、そうなっても仕方ないくらい傷付けた。
観覧車で泣いてしまったときの、永遠くんの揺れた瞳を思い出す。
……ああもう、ずっと痛い。



