氷点下できみを焦がしたい




「じゃあ笹木さんとも会ってないんだ?」

「え……」


女の子の言葉が少し離れて後ろの方にいた私の耳にも届いて、え、と歩く速度を緩める。

永遠くんも女の子たちも、私が後ろの方にいることには気付いていないみたいだ。



「笹木さんのこと名前で呼んでるし、仲良さそうだったから、もしかして付き合ってるのかなーって……」



その言葉に、ドキン、と心臓が跳ねる。

永遠くんが、困った顔で笑ってるのが見えた。


……なんて、答えるんだろう。



「笹木さんとはそういうのじゃないよ」




にっこり、人形みたいに綺麗に笑って。
少しも焦ってなんかいなくて。

そう答えた永遠くんに、目の前が真っ暗になった。