「親の離婚で塞ぎ込んでる私を慰めてくれた永遠が、王子様みたいに見えたの。私だけの王子様でいてほしくて、だけど私はお姫様になるための努力なんてしてこなかった」


俯いたまま話す莉緒ちゃんの話を、頷きながら聞く。

ココアの缶を握りしめた爪にはサクラ色のマニキュアが塗ってあって、爪の先まで可愛くて、お姫様みたいだと思った。




「私、永遠が他の女の子を好きにならないように根回しする努力はしたのに、永遠に自分を好きになってもらう努力はちゃんとできてなかったのかなぁ」


寂しそうに俯く莉緒ちゃんに、驚いて声を上げる。



「そんなことないよ!」



思わず大きな声を出してしまって、ハッと口をつぐむ。莉緒ちゃんも驚いた顔で私を見た。