氷点下できみを焦がしたい



「羽瑠ちゃん、観覧車乗ろうか」

「え……」

「泣いてる顔で戻りたくないでしょ」


真緒くんの表情は、優しく、少し寂しそうに見えた。

そんな真緒くんに優しく手を引かれて、観覧車の列に並ぶ。

周りにはカップルばかりで、涙を拭きながら並んでいる私は少し目立っている気がする。

それでも真緒くんはなにも気にしないで、ただなだめるように私の手を握ってくれた。



「……あ、永遠くんたちに連絡、」

「しなくていいんじゃない?
永遠も少しは焦ればいいよ」

「焦るって、何に……?」

「こっちの話」



真緒くんが優しく手を握ってくれるから。
なんだか安心してしまう。



「次の方どうぞー」


スタッフのお姉さんにそう言われて、観覧車に乗り込もうとした瞬間。



「──っ、羽瑠!」



走ってきた人影に呼ばれて、驚いて俯いていた顔を上げる。

振り返る間もなく、真緒くんに握られていた私の手首を掴んだ彼が、観覧車に乗り込んだ。

私も引っ張られて、よろけたまま観覧車に乗ってしまう。