私がそう言ったら、真緒くんは驚いたように私を見た。
「そんなこと初めて言われたかも」
「え?だって、自分の寂しいって気持ちより人の幸せを嬉しいって思えるなんてすごいじゃん。
それに、私のことわざわざショッピングモールまで心配しに来てくれたし。優しいでしょ?」
そうしたら、真緒くんは見たことないくらい優しく笑って、私の頭をぽんと撫でた。
あったかくて大きな真緒くんの手がくしゃりと私を撫でて、そのままするりと髪を梳く。
「真緒くん……?」
「優しいのは羽瑠ちゃんだよ。
いつもへらへら笑ってばっかりの俺のこと、心配してくれたのは羽瑠ちゃんと永遠だけだし」
「永遠くんも……?」
「そう、親が離婚してずっと泣いてる莉緒は親戚からも心配されてたけど、俺はうまく寂しいって言えなくて。こうやってへらへらしてたら『なに考えてるかわからない』って言われたりしたんだけど。
でも永遠だけが、『お前は大丈夫なのかよ』って聞いてくれたんだよね」