氷点下できみを焦がしたい




うちの家族は仲がいいから、それがどれだけのショックなのか私に理解することはできないだろう。

でも、計り知れないくらいだって、想像はできる。



「だから永遠に電話が行っちゃったの。ごめんね、邪魔して」

「謝ることじゃない、全然」


なんで、真緒くんがそんなに申し訳なさそうな顔するの?
だって、真緒くんだって……。


「真緒くんは大丈夫なの?」

「え……」

「莉緒ちゃんの親ってことは真緒くんの親ってことでしょう?真緒くんは平気なの?」



いつも笑って、いつも楽しそうで、だけどその分、本心が全然見えない人だと思っていた。


真緒くんが悲しんでいるところを見たことがない。

怒ったところを見たのは、私が女の子たちに呼び出されたのを助けに来てくれた時だけだ。


莉緒ちゃんが辛いなら、真緒くんだって辛いんじゃないの?