高速道路を運転しているときだった。


その日は天気も良く、青空が眩しかった。
仕事じゃなかったら、このままどこかに出掛けたい気分だ。

「でも、スーツで出掛けるのはチョットねぇ〜」


フフッと笑いながら運転していると、分岐が近づいてきた。

ここを右に曲がれば、もうすぐ高速道路出口だ。



『滑るから気をつけて!』

「え?滑らないでしょ」

助手席からの甲高(かんだか)い声に、私は即答した。雪は積もっていないし、暖かいから凍結もなさそうだ。

『気をつけて!』

「だーかーらー滑らないって!」

私は少し苛立ちながら、スピードを落とした。


分岐を右に曲がると、大きなカーブがある。
減速しながらカーブに差し掛かると…


「えっ?!」



そこには大きな水たまりがあった。


「ヤバッッ!!!」

タイヤが浮いたような感覚になり、ハンドルが利かない。
車体がグルングルンと回転し、壁が目の前に近づいてくる。


ーーーあ、もうダメだ




事故を覚悟した瞬間





車は何事も無かったかのように車線に戻り、
元の運転に戻った。


心臓が バ ク バ ク と音を立てていた。