指輪の魔法がとけた時

「一生に一度の贈り物なんだから二人で選ぶべきだって言ったんだけどね、僅かな隙につけこんで婚約指輪をはずさせてすぐに自分のものにするから今すぐ手元に指輪が必要なんだって、バカでしょ?

慎介とは真逆で相手の気持ちなんてまるで考えない、だけど一途で真っ直ぐで。

だってこの指輪作ったのって三年前よ?

三年もずっと渡すチャンスを狙ってたんだから」

「明日葉!
余計なことしゃべりすぎだ!

そもそも拗れたのはお前たちが原因なんだからな」

見つめた慎は顔を赤くしてそっぽをむいていた。

「ごめんね、間違えて渡した慎介も悪いんだけど、私もずっときがつかなくて。

今までずっとあすかさんの指輪私がはめてたのよね。」

「ごめんな、あすか。

嫌な思いと誤解させて。

お下がりで十分なんて思ってないからな。

ずっと渡したくて肌身離さず持ってたんだ。

でも、退院したら一緒に新しい指輪を作りに行こう。

どうであれ、今まで明日葉が身に付けてたんだ。

それこそ、お古でお下がりだ」