指輪の魔法がとけた時

ううん、今見た光景が夢なのかもしれない…。

目の前にかざした両手には指輪なんてない。

「幸せになる魔法、とけちゃった…

幸せになるんだって思ってたのに…

ずっと一緒にいるって約束したのに…

また、一人になっちゃった…」


真っ暗な慎のいないマンション。

彼の香りに溢れ、私はソファーで膝を抱え体を丸めて泣き崩れた。

亮二と別れた時よりも、はるかに胸は痛み、どこまでもどこまでも深く暗闇に落ちていく…。