亮二の言葉を信じたわけではなかった。

無性に慎に会いたかった。

暖かな腕に抱き締めてほしかった。

優しいキスがほしかった。

それだけの理由で私の足は横浜に向かっていた。

電車の中で無意識に左手の指輪を撫でる。

そういえばこの指輪は私の為に贈られたものではない。

亮二に迫られた時に、慎がとっさに私の指にはめたものだ。

この指輪について深く尋ねたことはなかった。