どうにか絞り出した声は震えていた。

「どうであれ、棚橋課長は真理恵さんを選んで結婚したんです。

私たちはもう終わってるんです」

亮二の瞳が切なげに私を見つめた。

「俺は…それでもやっぱりあすかが大事で、あすかのことが好きなんだよ…。

来年アイツと結婚するんだろ?

あすかが誰かのものになるなんて耐えられないんだ。

結婚するなよあすか。」

この人のいっていることは矛盾している。

私にどうしろというのだろう…?

「それなら会社をやめて、真理恵さんと離婚して私と一緒になってくれるの!?」

睨み付けた私に、亮二は奥歯をギりっと噛み締めて拳をつくり壁をもう一度おもいきり叩いた。