「ちょっと、棚橋課長、会場に戻らないと…」

乱暴に壁に押し付けられた体は、逃げられないように亮二が両腕を壁について私を閉じ込めた。

「あすか、俺は三年前から変わらずずっとあすかだけが好きなんだ」

苦痛に歪む亮二の顔から目をそらす。

「今さら何を言ってるのよ。
結婚式あげたばかりじゃない!」

ドン!!
と壁を叩いた亮二にびくりとして目をむける。

「俺は!一年で戻ってきてあすかと結婚するつもりだったんだ!
それなのに、アメリカ支社にきた真理恵が俺に惚れて、もう二年向こうでの勤務が延びたんだよ。

あとは常務の圧力がかかり断る訳にはいかなくなった…」

亮二の切なげな瞳に見つめられて、身動きができず息を飲んだ。