指輪の魔法がとけた時

話がややこしくなる前に

「行こう!田仲。」
と鞄を掴み一緒に外回りに出掛けた。

田仲の運転する車で、取引先に向かう道すがら、田仲は私に今まで見てきたことを話してくれた。

ずっと私と亮二の関係を、私たちが付き合いだした頃から気がついていたのだと。

「隠しててもさ、長谷川見てればわかるんだよ。
お前すぐ顔にでるからさ。
なのに、棚橋さんはしれっとして、誰にでもいい顔してすんげー内心ムカムカしてたんだ」

その横顔は不機嫌で苛ついているのがみてとれた。