「さっき、アイツの前で見せつけたんだ。
そのままつけてないとおかしいだろ。

それに、、、、その指輪は俺に返されても困る。」

どこか歯切れの悪い慎の言葉に、もしかしたらこの指輪は渡すべき持ち主を失ってしまったものではないのかと、チクリと小さな棘が刺さったような痛みにおそわれた。

「…わかった。
じゃあしばらくこのままつけさせてもらうね。いろいろありがとう」

再び私の左手薬指に収まった指輪は、きらきらと綺麗な輝きを放っていたが、その綺麗な輝きを私は何故か直視することができずにいた。