「なんだよ、そんなに怒るなよ。
悪かったよずっとほっといて。

しかたないだろ、常務の娘との結婚は俺の出世がかかってるんだから。

わかってくれよあすか。
俺が好きなはのはずっとかわらずあすかだけなんだから」

亮二の言葉に睨み付けていた瞳が揺らぐ。

「なぁ、結婚はするが愛なんてない形だけの結婚だ。
だから、あすか俺と今までどおりの関係続けてくれるよな?」

バカにするにも程がある。
私に愛人になれと、不倫をしろとこの人は言っている。

「棚橋課長、私はあなたのことなんて待ってなんかいません!」

私の声は震えていた。
振り払えずに捕まれたままの右手を亮二は力を込めて握った。