「…アイツと付き合ってたんだな。
俺もてっきり社外の男かとおもってずっと見てきたが、まるで男の気配が見えやしない。
その指輪は単なる男避けかとおもってたが違ったみたいだな。」

思わず左手で隠した右手を課長がつかむ。

「とっととそんな指輪ははずしちまえ!!」

「どうして…」

「六年間…サイテーなヤツだ!
泣きながら長い間溜め込んでいた気持ちを吐き出したんだよ、昨日」

切なそうに課長の瞳が揺れた。

「安心しろ。
最後まではやってない。
ずっと恋い焦がれていた相手だ。
いくら付け入る隙ができたからって、そこまで俺は最低な奴じゃないからな。

あすか、全力でお前を落としにかかるから覚悟しておけよ?

必ずお前を俺の嫁にするからな」

強気な力強い眼差しから慌てて目をそらす。
ふっと笑った渡瀬課長は顔を近づけ耳元で囁く。

「俺の気持ち伝わったよな?
今から抱いてもいい?」

顔を真っ赤にして課長を睨むと口角をあげて愉快そうに笑っていた。