「じゃ、また明日ね」
女の子は笑顔で頷き、去って行く。

おいおい、去り際にチラッと私の全身を値踏みして行くのはやめてよね!!

……分かってる。
私は美人でもなければ、可愛いとも言えないこと。

それに引きかえ涼ちゃんは、いわゆるイケメンだ。クルリとした可愛い目に、スッと鼻筋が通り、口元も嫌味が無くてさわやかだ。

でも。
涼ちゃんは中学生の時、学校の女の子たちからどちらかと言えば恋愛対象に見られていなかった。
影の薄い、教室のすみで読書している男子。

メガネだっていつも何だかチグハグで、ズレてるし。
色白な肌は透き通るみたいでキレイだけど、ヒョロヒョロした体を目立たせている。

それが何だか可愛くて。
見た目だけじゃない。
優しいところもあって、隣にいてくれるだけで落ち着くんだ。

私だけだったのに。