恋色に染まっていく

「だって」
涼ちゃんはまだクスクス笑っている。
「だって桃ちゃん、オレの代わりにケンカ買っちゃうんだもん!かっこよすぎ!!」

「黙っていられなかったんだもん」

「黙っていて良かったんだよ。今度は桃ちゃんが何か言われちゃうじゃん。そんなことになったらオレは絶対イヤだから」
今度は珍しく真剣な表情になった涼ちゃんに、私はドキッとする。

でも。
「そんなの平気だし」
私はうつむきながら抗議する。
「何か言われてもいい。あんな奴怖くないし!涼ちゃんが悪く言われてるのに、じっと見ているだけの自分の方がもっと怖い」

大事な人だから。
一緒に戦いたいんだ。


まだ繋いだままの手を、涼ちゃんはギュッと握った。
「桃ちゃん、オレね……」