恋色に染まっていく


「涼ちゃんはあんたと違って!」
イライラ全開の私の言葉をそこで遮って、大きな声で涼ちゃんは言った。
「いっけない!!桃ちゃん、先生に呼ばれてたよ!!これはすぐ行かないと怒られるんじゃないかな!!」

……は?

もうあと5分で朝のホームルームが始まる時間に、生徒を呼び出す先生なんかいないし。

きっとその場にいた全員がこう思った。



嘘くせーーーッ!!



涼ちゃんは構わず私の手を引いて、かけ足で体育館裏まで移動する。




「ちょ、ちょっと!!」


私たち以外にこの時間に体育館裏には誰もいない。
「ビックリしたーーー」
涼ちゃんは安心したのか、そう言って急に笑い出した。

え?
なんで笑ってんの。


「なにがおかしいのよ」
まだイライラが残っている声色のまま、涼ちゃんをキッと睨む。