それなのに、先生は私の後をついてきた。


「ここは学校ですよ?もうそろそろ中間試験もあります。文化祭の準備だって。こんなことに時間を使ってる場合じゃないんですよ?」


相田先生は気まずそうに顔を背けた。


「神田先生は相変わらず手厳しいですね」


遠回しにつまらない人間だと言われたような気がした。


「ただ、市原の言うことも一理あると思ったんです」


聞き捨てならない言葉だった。
足を止めて先生の話に耳を傾ける。


「学校側が決めただけの行事だと、生徒に寄り添うことは出来ない。同じ立場の市原が企画したからこそ、生徒たちが心から楽しめるんじゃないかって思っちゃったんですよね」


だから、一番に彼の案に賛成したということか。


そう言われてしまうと、反論の余地がない。


「そういうわけで、神田先生も楽しんでみませんか?」


どこから出したのかわからない、重そうなビニール袋が二つ、目の前に現れた。
市原君の企画の買い出し後だったらしい。


袋はゆっくりと下りていき、相田先生の笑顔が出てくる。


「市原起案のハロウィンパーティー」


そのパーティーを認めたからと言って、参加したいわけではない。
結局、私は先生を残して職員室に入った。