ニコニコ笑って理人さんを見上げる母に、頬を膨らませて抗議した。


そしてまた、彼の右腕に甘えるようにしがみつきもたれかかる。ようやく会えたダンナさまから片時も離れたくなかった。


これだから、母に子供扱いされても仕方がないんだろうけど。


「こら、親の前でベタベタするのはやめなさい」


リビングから出てきた父が、微妙な表情を浮かべ嫌味っぽく言う。


さっきまで、お酒を飲んで上機嫌だったんだけど、理人さんがくるといつも固い表情になる。


「理人くん、遅くなるんなら無理に迎えに来なくてもいいんだよ。君だって疲れてるだろ」