ピンポン!

相変わらず吹く風に、震えながらベットに潜っていたら。

玄関でベルの音が聞こえた。

こんな時間に誰??

今は、夜の10時。

人が訪ねてくる時間じゃない。

考えられるのは…………

コウと結婚した海晴!

しょっちゅう拗ねて、家出して来るんだ。

海晴は、うつ病と戦っていて………

優しく包容力のあるコウとでも、時々しんどくなるみたいなんだよね。

「は~い。
開いてるよ~」

洋ちゃんには怒られるんだけど

田舎者の私は、ついつい鍵をかけないことがあるの。

海晴だと思って、勝手に入るよう声をかけ振り向くと………

ナゼか正装をした洋ちゃんが、仁王立ちになっていた。

???

何うえ洋ちゃん??

今の時間…………仕事なんじゃあ??

おまけに正装。

それにどうして仁王立ち?………ってそれは分かる。

鍵を開けっぱなしだったから。

「……………………ごめんなさい。」

「彩。
俺が怒ってるのは分かるよね。」

「うん。
鍵を開けっぱなしだったから………。」

「……………他には?」

えっ??

他に何かあったっけ??

これ以上怒らせたくないから………

分からないなりに、声を出す。

「えっと……………」

はぁ~っ……………。

あぁ、怒らせちゃった。