右肘を触る、膝でリズムをとる、
鼻をすする、眉毛が痙攣する、
親指と中指を擦り合わせる、
髪の触覚をなでる、
腕組みをする、唇をなめる、



硝子の裏側、
自分から隠されているものはとても脆い。


誰にも守られていない領域、騎士も見張りもいない、無法地帯。


それでも、穏やかに、優しく、
苦しい自分を守ってくれる部分であることは確かなこと。






暴くという言葉に暴力の暴がつかわれるのは、暴く行為が一種の暴力だからだと知った。

暴くことは、誰かのためだけの無法地帯を荒らして、誰かを誰かたらしめる優しさや穏やかさを殺してしまうことなのだと知った。




暴くことは、暴力だ。




そのことを知って、

同時に、
そんなこと知らなかった
ではすまされないということも


十分すぎるほど、知った。