「バスケのルールは?」


話の流れを無視したかのような質問に、志鶴ちゃんは顔を顰めた。


「バスケのルール。必要ないと思う?」


それでも僕は引かずに、質問を続けた。
バスケ部に所属している志鶴ちゃんにとって、これ以上身近な例はないだろうと思って、例に使った。


志鶴ちゃんは鼻で笑った。


「バカだね、光輝は。ルールがなかったら、ゲームが成立しないじゃん」
「うん、そうだね。僕は、校則も同じだと思うんだ」


志鶴ちゃんの頭の上にハテナが見える。


「校則がなかったら、生徒一人一人が自由に生活していたら、学級崩壊どころじゃない。学校が荒れるんじゃないかな」


少しだけでも僕の言葉を理解してくれたのか、志鶴ちゃんはつまらなそうに僕から目を逸らした。


「みんなのために、校則やルールは守ろう?ね?」


追い討ちをかけるように、志鶴ちゃんの頭に手を置いた。
拗ねている志鶴ちゃんは、僕の手を思いっきり払う。


「光輝の言うことはわかったよ……?でも髪型くらい、別にいいじゃん……」
「それは学校の色だよ。地域の人からの印象とかを考えてるんじゃないかな」


なんて、若干適当なことを言って誤魔化したのは、ここだけの秘密だ。