リビングでキスをしたあと、あたしを抱き締めていた四季(しき)が遠慮がちに言った。
「……秋穂(あきほ)、お前太った?」
「はい?」
 あたしは大きな目をさらに大きくした。
 いきなり何なの?
 太ったってどういう意味?
「な、な、な、何をいきなり」
「いや、さぁ」
 四季があたしから目をそらす。
「実は前から気にはなってたんだ。でも、お前もしかしたらわかってて何もしないのかなーって」
「わかってないよ! 全然わかってないよ!」
 あたしはショックで身体が震えていた。
 信じられないし、信じたくなかった。
 服のサイズだって……あれ?
 あたしはワンピースの脇腹のあたりをつまんで気づく。
 ぷに。
 ぷにぷに。
 ぷにぷにぷに。
 あれれ?
 ぷにぷにぷに。
 ぷにぷにぷに。
 あれあれあれ?
 なおも指で脇腹のお肉をぷにぷにするあたしを四季が制した。
「もういい。そのへんにしとけ」
「四季、あたし病気なのかな?」
「いや、とりあえず現実を受け容れろ」
「あたし死んじゃうのかな?」
「落ち着け、ただデブっただけだ」
 なだめてるつもりかもしれないけど、何気に酷いよ。
 ともあれ、あたしは太ったのだと認めざるをえなかった。四季があたしにツンツンすることはあっても嘘をついたことはない。
 ……よし。
 あたしはあることを決心した。