香田さんたちメカニックは今日は定時に上がれたはずだ。

残業で遅くなった私の退社時間は、すでに香田さんがあがってから二時間近くはたっているはずだ。

「こんなに遅くまで気にかけてくれてすみません。
ありがとうございました。
本当に助かりました」


「…別に…。
職業上、気になっただけ。
じゃ、帰るから俺。

気を付けて帰れよ。お疲れ」

山吹色のツナギの背中に慌ててもう一度声をかける。

「香田さん!」

「ん?」

振り向いた彼に笑顔を向ける。

「本当にありがとうございました!
お疲れ様でした!」

「ん、お疲れ様。気をつけてな」

ふわりともう一度微笑まれて私は…

恋に落ちた…。

香田蓮司の笑顔と優しさに私はやられてしまった。