課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~

「いや……なんででしょうってね」
と言いながらも、嬉しくないこともないこともない。

 はい、と薄水色のマグカップを差し出した羽村は、
「とりあえず、飲んで。
 送っていくから」
と言った。

 雪乃が素直に、はい、と頷き、マグカップを受け取ったとき、スマホが鳴った。

 テーブルの上のそれを取ると、例の友人からだった。

 会社を辞めるか決めたか訊いてくる。

「うーん。
 ちょっと考え中」
と言うと、

『お前の性格だと嫌なら嫌ってすぐ言うから。
 ちょっとは期待していいってことだな』
と笑って友人は切った。