だが、いいえ、大丈夫です、と言いながら、雪乃は側にあった、ふかふかのクッションをつかんで、お腹に抱く。

 あまり大丈夫ではなさそうだ……と、とりあえず、エアコンの温度を上げてみた。

「羽村さんは、ファンヒーター派なんですか?」
と突然、雪乃が訊いてきた。

「ストーブ、ファンヒーター、エアコンの中では、ファンヒーターが一番高くつくとか聞きましたが」

「そうかもね。
 でも、ストーブはなんだか危ない感じがするし。
 エアコンは火がついてないから、芯からあったまる感じがしないし。

 なんとなく、ファンヒーターかなあと思って」
と言うと、雪乃は、

「なにかこう、お洒落度優先で、エアコンか、薪ストーブなイメージがあったんですが」
と言ってくる。

「……此処、マンション。
 薪ストーブとか迷惑な上に、一酸化炭素中毒で死ぬから」