課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~

 実家にたまに来る父の職場の人に以前、
「お父さん、家でも強引でワンマンだねえ」
と苦笑いしながら言われたが。

 何処でもこんな調子のようだった。

 父に聞いた話の内容は、昨日、彼女から聞いたことと、ほぼ変わりなかった。

 見合いが上手くいかなかったら、殺される、のくだりはなかったが。

『なんだ、気に入らんのか。
 なかなかの美人じゃらしいじゃないか。

 わしは見てないが』

 ……見てないのに、何故、自信満々に勧めてくる、と思いながら、

「ともかく、余計なお世話だから。
 断っといてよ」
と羽村は言った。

 こっちから断ったのなら、彼女にも害は及ぶまい、と思ったのだが。

 ふと、ガラス張りの玄関から外を見ると、白いコートを着た女が寒いのか、うつむいて、前の道を行ったり来たりしている。