──そして翌月。

未来と一緒に南海高校にテニスの練習試合を見に行った。

ここが友也が通ってる学校……。

そう思うと校舎とか体育館とかあちこち見て回りたかったけど、応援に来たんだからとテニスの試合に集中。

相手の高校のチームとの実力は拮抗しているようで、試合の結果は五分五分といった感じだった。

ただ田代・御子柴ペアだけは全勝だったから、凄いなって思ったし応援するのも楽しかった。

『解散したら一緒に帰ろうな。ちょっと待っとって』

友也からメールが来たから未来に伝えると、未来も先輩と一緒に帰ると言うので二人揃って"彼氏待ち"することに。

帰る前に他のテニス部の仲間に友也の"彼女"として紹介されたのは嬉しかったけど、嘘をついてる後ろめたさを隠して明るく振る舞うのはちょっとだけ胸が痛かった。

未来のニコニコと可愛らしい笑顔は、田代先輩と上手くいってるからこその心からの笑顔なんだなって羨ましく思ってしまう自分が情けなくなったりもした。




その後も順調に私たちは付き合ってるフリのまま。

たまに"これがフリじゃなくて本当の男女交際だったらな"なんて思わなくもなかったけど、フリができるだけでも私は幸せなんだと自分に言い聞かせた。

普通の恋人同士がどんな感じなのか知らないからなんとも言えないけど、周りから見れば私たちだって恋人同士なんだろうし、私が幸せを感じているんだからそれでいいんだきっと。

決定的に違うのは、お互い『好き』って気持ちを言わないこと。

ただそれだけ。

だから友也の本当の気持ちを知ることはできないけど、友也が私のことを大事にしてくれてることは十分に伝わってきてるから、それで良かった。

毎日必ずメールか電話して、時間があればデートして、お互いの部屋で会うときはキスするのが定番になって。

これ以上の関係を望むなんて、バチが当たりそう。

高校生の分際で贅沢なんて言えない。

私たちの関係は誰から咎められることも邪魔されることもないまま、高校生らしい付き合いを続けられていた。