久し振りに生田家と御子柴家が全員集合で大盛り上がりとなった。

お父さん同士は同じ会社の仲間だし、お母さん同士もお隣さんだから引っ越して来た時からずっと仲良し。

私と友也は同級生で友だち……というか親友、そして今は一応付き合ってる。

例え『フリ』でも、いいの。

付き合ってる事には変わりないんだって開き直る私。

だってそうでしょ?キスだってしちゃうんだから……。

「じゃ、俺先に帰っとくけん。おじちゃんおばちゃん、お邪魔しました。じゃあな、明日美」

「あ、うん」

あんなキスしておいて、案外あっさりと去って行くんだ。

まだ友也と離れがたい私は、せめて玄関まで見送ろうと友也の後を追った。

彼氏を見送るのは彼女だったら当たり前でしょ?

別に変じゃないよね。

「友也!明日もテニス頑張ってね。また試合あると?」

「来月、練習試合のあるけど。南海のテニスコートであっとけど応援来る?」

え!南海に見に行ってもいいの?

「友也は田代先輩とペアやったよね」

「そうけど。青柳さんも多分見に来るやろうし一緒に来れば?」

そうだよね、未来だって先輩の彼女なんだし行くよね。

「うん!未来と相談してみる」

こうしてお互いの家で会えるのも嬉しいけど、外で会えるのはもっと嬉しい。

しかも友也の通ってる南海に行けるチャンスなんてそうそうない。

「おう!そいじゃまたな、明日美」

なんだかまだ名残惜しい。

そんな想いが表情に出てしまっていたのか、玄関で靴を履き終えた友也が私の腕をさっと掴んで距離を縮めてきた。

あっ…………来る。

予感に胸を踊らせた私はとっさに目を閉じた。

唇に期待した熱が伝わってきて嬉しさで涙が出そうになる。

さっき途中で止めたキスが不完全燃焼だったからか、指示された訳じゃないのに口が勝手に開く。

すると当然のように友也が舌を入れてきた。

今日だけで私たちのキスは急激に濃密度を増した。

お別れの玄関でのキスは個人レッスンの成果を試されてる気がして、友也の熱情に必死になりながら応えたのだった。