え……。

いま、なんて言ったの友也。

『見に来る?』って言った?

それってお誘いって思ってもいいの?

ポカンとしてしまった私に友也が話を続ける。

「いやだけんさ、前に明日美が応援に来てくれるとか言うたやろ。今度試合のあるけん、見に来んかなって思って」

「試合って、新人戦?どこであると?」

「松山のテニスコート。もし明日美が良かったらけど……」

確かに、試合の応援に行ってもいいかって聞いたことがあった。

あの時のことちゃんと覚えていてくれたんだ。

「それって友達とか誘ってもいい?それとも……」

未来と一緒に見に行けたらいいなって思って聞いてみた。

ちょっと未来が元気がない時があるのが気になってたから、一緒に行けたら楽しいんじゃないかと思って。

「あ、ごめん。高校で最初の試合やけん負けたらカッコ悪かし、今回は出来れば明日美一人で来て欲しかかな。負けんごと頑張るつもりけど」




翌週の日曜日。

友也の希望通り、私は一人で試合の応援に行った。

友也は先輩とペアを組んだりすることもあるらしいけど、今回は新人戦だから同級生同士のペアだと言っていた。

毎日朝練や放課後の部活も遅くまで頑張ってるから、試合でも勝ってくれたらいいな。

松山のテニスコートには私も中学の時試合でよく来ていた。

八面のコートが横にズラリと並んでいるから、端から端まではかなり距離がある。

友也たちどの辺にいるんだろう?

コートの両サイドに応援席があって、その後ろのフェンスには各学校の応援旗や横断幕が掲げられているから、どの学校がどこに陣取っているのか大体分かるようになっているのだ。

南海は……あった、見つけた。

本部側の五コートの後ろ辺りにいるみたい。

女子と男子で半分の四コートずつ使って試合してるようだ。

さすがに男子校の陣営に近づくのは勇気がいるから、トーナメント表を確認したら邪魔にならないような場所で試合を見学させてもらおう。