いつか、きっと。

課長から先に帰っていいと言われたけど、一緒に病院に残ることにした。

せっかく来たんだし、私も課長と一緒に瀬名くんの病状について聞きたいし。

どうせ家に帰っても気になって仕方がないだろうから。

そうよ、帰ったって別にすることもないし。

どうせ何も予定なんて入ってないし。

暇だし……とか言う訳じゃないんだから。

瀬名くんのご両親に会って挨拶し、課長と一緒に瀬名くんの手術が終わるのを待たせてもらうことにした。

「もしかして、圭司とお付き合いされているとか……」

「い、いえ!違います。ただの同僚です。同じ部署の仲間だし、同期でもありますけど、決して付き合ったりはしてません」

ビックリした。

まさか瀬名くんの彼女だと勘違いされるなんて。

そりゃ病院に駆け付けるくらいだから誤解されても仕方ないかもしれないけど。

ここはしっかり否定しておかないとね。

瀬名くんにはちゃんと好きな人がいるんだから。

私だって……。

手術が終わった後、担当の先生からご両親に説明があり、その後私たちも話を聞かせてもらうことに。

交通事故による頭部への強い打撃。

脳挫傷ということだった。

一口に『脳挫傷』と言っても、症状は軽症から重症まで様々らしい。

出血を伴わない軽症の場合は、保存治療といって点滴で症状を改善させるというのが一般的だそうだ。

だけど瀬名くんの場合は、出血や外傷があったため手術によって血種を取り除かなければならなかったようだ。

救急車を呼ぶのが早かったということで、処置が早くできたのは幸いだったとのこと。

あとは瀬名くんの意識が回復するのを待って、今後の治療を検討するらしい。

特に何も障害がでなければ退院も早いらしいけど、後遺症が出てくる場合もあるから油断はできないそうだ。

どちらにしてもしばらく入院ってことになるだろう。

「今後の事を会社でも考える必要があるな。明日、上役と相談しないといけないだろう。一日も早く回復してくれんば困るな……」

課長も頭を悩ませてるよね。

私にできる事って、あるのかな……。