いつか、きっと。

「さっき瀬名くんと二人で待っとるときどうやった?なんば話しよったと?」

友也の車で稲佐山に向かう途中、二人きりになってやっと気になってたことを聞いてみた。

「ん?明日美のことばちょっとな。会社で俺の知らん誰かからちょっかい出されよらんかとか。ついでに瀬名にも念のため忠告しとったけど」

……友也、瀬名くんと話したかったって言ってたけど、そんな話がしたかったの?

「それで、瀬名くんはなんて言ってた?私のこと」

「明日美は誰に対しても優しかけん、上司や先輩からも可愛がられとるって。男女関係なくみんなから好かれとるらしかやっか。良かったな明日美。でもそのお前の優しさを勘違いする奴もおるかもしれんけん、気を付けろよ」

なに言ってんの友也。

そんなに誰にでも優しい八方美人なつもりなんてないけど。

瀬名くんったら何を適当な事言ってくれたんだろ。

「じゃあちょっとは打ち解けられた?稲佐山ではみんなで一緒にお昼食べるし、楽しみやねー」

本当はまだ少し、不安が拭えないけど。


稲佐山の中腹には無料の駐車場と、遊具や噴水のある公園がある。

奥の方には野外ステージがあって、広々とした芝生の広場が広がっている。

この野外ステージではいろんなアーティストの野外コンサートが行われたり、夏には毎年"Sky Jamboree"という野外ロックフェスティバルが開催されている。

今日の目的は花見ということで、桜の木の近くの芝生にビニールシートを敷いてランチタイムを過ごすことにした。

今日は春休み中の日曜日で天気も良いし、家族連れで賑わっている。

だけどココは遊具のある広場からは離れているから、ゆっくり出来そう。

「あーお腹空いたね!食べよ食べよ!瀬名くんはどれだっけ」

「俺?チキチーとシャカチキとポテトMとカフェラテ」

瀬名くんよっぽどチキン好きなんだ。

みんなで食べるためにナゲットも買ってるのに。

「御子柴くんは?」

「俺はビッグとポテトMとカプチーノ」

友也はいつもだいたい決まってるもんね。

高校生の時から変わったのはドリンクくらいかな。