二年目になると、一年目と何も変わらないようでいて、自分の中で上手く言えないけどちょっとずつ変化が起きているような気がしていた。

仕事しながらも、自分のことでいっぱいいっぱいだったのが、周りの状況に目を向けられるようになってきたというか……。

「あ、こういうことだったのか」

なんて今まで無意味に思えていたことが、きちんと役割を果たしていることに気付かされたり。

人から教わるばかりではなく、自分の力で理解を深めていくことの大事さも少しずつ解ってきたような気がする。

パソコンのスキルアップのために、本を読んで勉強したり、会社の先輩にいろいろ質問したりもするようになった。

そうなってくると周りの目も変わってくる。

上司や先輩たちからもいろんなことを教えてくれたり、指導にも期待が込められているように感じる。

今は自分を磨くことに力を入れたい。

そうすることで仕事でも役に立てるようになるはずだから。

そうだよね、友也。

友也のためにも自分のためにも頑張らないと……。


「なんか最近の明日美、生き生きしとる。仕事順調か?ますます差ば付けられよる気のすっとけど」

友也からそんなこと言われて、嬉しいんだけど……。

私は友也に置いていかれないように必死なのに。

「友也の方がスゴかたい!夢に向かって頑張りよる友也のこと、いつも尊敬しとるよ私。家庭教師のほうはどう?」

友也はお父さんの仕事関係の人からの紹介で、中学受験を目指している小学生に勉強を教えている。

小学校の教師になりたい友也にとっては、うってつけのアルバイトだろう。

「結構よかとこのお坊っちゃんでさ。何がなんでも私立の中学に入れたかって親が必死さ。塾のレベルにはまだついていけんくらいやけん、かなり教え込まんばばい。でも出来の悪か生徒ほどやりがいもあるけんな。俺の腕の見せどころさ。見とけよ明日美!絶対私立に合格させてやっけん」

友也こそ生き生きしてるよ。

私も応援してるから、頑張って。

「きっと大丈夫!友也が頑張りよるけん私も負けんごとせんばって気合い入るばい」