せっかく友也と付き合えているのに、お互いの都合がなかなか合わずデートもままならない。

電話でちょっとだけ話したり、毎日メールしていても物足りない。

仕事で上手くいかなかったりストレスを感じる時こそ、友也に会いたくなってしまう。

高校生の時だってお互い部活してたし、しょっちゅう会ってた訳じゃない。

ただ月末の定期券購入日だけは予定を合わせてデートしてた。

それにお互いの部屋を行き来したりしてたから、あの頃はまだ会うために予定を合わせるのがそんなに難しい事だとは思ってなかったんだ。

そんな私の心を見透かしたように、お母さんが私に言った。

「最近友也くんと会えんとやろ?前みたいに夜でも会いに行けばよかとに」

「でも、友也のお父さん出張中でお母さんも福岡に帰っとるやろ。いま友也が部屋におったとしても門前払いさ」

だって友也、夜に部屋で会うなら親同伴じゃなきゃダメって。

友也は変なとこ頑固なんだもんね……。

「もう明日美は社会人たい。友也くんも大学生やけん十分大人やろ。家で二人きりがダメっていうとなら友也くんばうちに呼べば?お母さんが許可してやるけん」

そんなわけで友也に電話してみたら、お母さんの言うことに納得したようで会いに来てくれた。

これからは夜に家にいる時には短い時間でも部屋で会うようにしようということになった。

もちろん、二人きりにはならないことが条件だけど。

私は、二人きりでも構わないのに……。

「今日は明日美の父ちゃんまだ帰っとらんと?」

「うんまだばい。ここ最近残業続きで忙しそうにしとるよ。私も来週から帰りの遅うなるかもしれん」

「そっか無理すんなよ」

そう言いながら私の右手を取って両手で包み込んでくれる友也。

電話でもメールでも物足りなかった心が満たされていくのを感じる。

やっぱりこんな風にそばにいて直に触れ合うことが私にとって幸せなんだろうな。

友也もきっと同じだよね。