溜まり場に到着すると、チームの連中は既に臨戦態勢に入ってた。

バイクを整備し、武器を携えて出動の時を待っている。


車から降りた俺に気付いて、野太い声が一斉にこだました。


「すげぇ熱気だな」

「縄張りで勝手をされて、いきり立ってますからね」

秋道と並んで入り口へと向かう。


うちの連中は血の気の多い奴が多くて困るな。

そう思いながらも、胸の奥から沸き上がってくる闘志を感じていた。









幹部室に入ると、瑠偉達も特効服に身を包んでた。


「遅くなって悪い」

「いやいや、良いって。愛しの響ちゃんに会えたんだろ?」

瑠偉はニシシと笑う。


秋道が響を見つけてすぐに、遅くなる趣旨のメールを幹部に送信していたから、俺が何をしていたかは筒抜けだ。


「もっと一緒に居ても良かったのに」

と言うのは光希。


「断られたんですよ」

余計なこと言うなよ、秋道。


「抗争あんのに、誘ったのかよ」

と笑った瑠偉に、

「駄目元で誘ったに決まってんだろ」

くそが、と睨み付けた。


あの時は本気で誘った。

響は簡単に頷かねぇって分かってけどな。


あいつが俺の誘いに乗ってたら・・・今日の抗争は・・・。

いやいや、ねぇな。


初めから誘いに乗らねぇと思ってたし、あのやり取りがただ楽しくて誘ったのかも知れねぇな。

第一、仲間との約束をすっ飛ばして自分と遊ぶと知ったら、響は怒ってただろうな。


こわっ・・・今日のことはバレねぇようにしねぇとな。


「これ、晴成の特効服」

豪が俺の特効服を手渡してきた。

「ああ」

学ランを脱いで、それを羽織ると気持ちが引き締まった。

茶褐色の特効服は狼をイメージして作ったオリジナル。

幹部はみんな同じ色で、背中に入れてる刺繍だけが違う。


因みに俺の背中には《唯我独尊》と刺繍されている。

俺らしくていいだろ?


「さぁ、行くか」

特効服を翻して来た道を戻っていく。

待たせた連中と、一暴れと行こうか。


俺に続くように幹部が特効服を来て歩いてくる。


黒い特効服を来たメンバーが号令の合図を今かと待ち望んでいた。



「野郎共、今日も盛大に血塗られてこい」

「「「「「「おぉー!」」」」」」

つき上がる拳と響き渡る怒号。


瑠偉を先頭に特攻隊のバイクが次々と発信していく。

いつも通り車に乗り乗り込むと、俺の乗った車を囲うようにバイクが動き出す。


さぁ、今日も大暴れしよう。




ーendー