「はい、お茶どうぞ」

 温かい緑茶を入れてくれた美奈。

「有難う」

 ソファーに座って県は一息ついて、お茶を飲み始めた。



「はーい、小太郎。いらっしゃい」

 美奈がこえをかけた小太郎は…。


 小さくて可愛い茶系のチワワ。

 名前の通り男の子。

 青い服を着せて、とても可愛い小太郎。


 美奈は小太郎を抱いてソファーに座った。


「はーい、小太郎お利口に待ってたねぇ。はい、ご褒美よ」

 犬用のお菓子、そして水を小太郎にあげる美奈。




 そう。

 引っ越しをしたのは、美奈が「犬を飼いたい」と言い出したからだ。

 前のコーポはペット禁止だった。

 その為にペットが飼えるマンションを探し、駅からは少し離れている場所ではあるがここに決めたのだ。

 美奈は犬好きで、実家では3匹のマルチーズを飼っている。

 同棲中も、ちょくちょく実家に帰り犬と遊んでいた美奈。

 一人っ子の美奈はわがまま放題で自由気ままに暮らしていた。


 そんな美奈と気があって、謙が交際を始めたのは3年前の冬だった。