驚いた謙の視界に入ったのは、明らかに高級品と思われるドッグフードがあった。

 そして犬用のおやつも。

 犬用の歯ブラシ、おもちゃ…。

 今までなかったものが増えている。


「なんだ? どうゆう事? 」


 小太郎の専用用品が増えていて、謙は驚いた。






 その日も美奈は深夜1時に帰宅。

 謙は熟睡していた。

 



 翌朝は寝坊しないで、美奈は朝食を作ってくれた。

 だが、パンはロールパンで卵焼きは焦げていて、珈琲もパック珈琲だった。

 明らかに買って来たものばかり。



「ねぇ美奈。小太郎のご飯、変わった? 」

「あ、気づいた? ちょっと高いのも変えたの。小太郎も、美味しいご飯がいいと思うし。私もバイト始めて、バイト代は日払いでもらえるから。昨日は、小太郎のお洋服やおもちゃも買ったの。そろそろ、ペットカーも買い替えようかな? って思ているの。小太郎、最近おっきくなったから」

「おっきくなった? 」


 太ったの間違いじゃないのか?

 と、謙は小太郎を見た。


「それでね、謙ちゃん。小太郎ね、スイミングに通わせる事にしたの」

「スイミング? 」

「うん、小太郎が運動不足にならないようにしないといけないし。良く食べるから、太っちゃうといけないから。スイミングが、一番いいらしいの」


 犬のスイミング?

 謙は小太郎を見て、小太郎がプールで泳いでいる姿を想像してみた。


「え…」


 ちょっと信じられないと謙は思った。


「小太郎良かったね、スイミング行けば運動たくさんできるし。お友達もまた、増えるわね」


 もしかして、バイトを始めたのは犬の為か?

 謙はすっかり呆れていた。