「…智紘先輩には関係のないことです。」


なんて言ってみたものの先輩に大いに関係があって変な動悸がする…。


「なんかそれ悲しい」

「なんでですか」

「え、なんとなく?」


……ああ、よかった。

完璧な先輩じゃなくて。


「ていうかさ、俺それよりも気になることがあるんだけど!」


バンッとテーブルに両手をつき、顔をずいっと近づけてくる先輩。


「どうしてまたここなの!?」

「……はい?」

「だーかーらー、どうしてまた中庭なの?」

「あ、ああ、それはですね…。」


……物置きとして使われているいわば空き教室は完全なる密室で、恋愛に無知なわたしでもさすがにそういうのはまずいんじゃないかという危険信号が警報を鳴らしたから……

なんて言えるはずもなく。