その言葉を聞いて驚いた。

と、いうよりは、今“許してあげる”って言ったよね? ……ということは、まだ許されてなかったってこと?

いや、そもそも。わたしが怒られるようなことしたわけではないのに……

って、そうじゃなくて!


「だ、ダメです…っ」

「なんで?」

「いや、なんでって…。」

「じゃあ、いいよね」


そんなわたしを見て先輩はクスッと笑った。


「じゃあ…ってなんですか。」

「え? 問題ないでしょ?」

「いや、あります…っ」


不満な顔をしながら、「えー」と言う先輩は、どいてくれる様子も見えなくてお手上げ状態。


「ねぇ、春香ちゃん」

「……な、んですか」


わたしが返事をした次の瞬間、下から伸びてきた先輩の手がわたしの頬に添えられた───。


「なっ……」


一瞬、時が止まったかと思った。