「あ、春香ちゃん。顔真っ赤」

「なっ…!」


それをわざと言ってしまうのは、先輩が意地悪だから。


「もうっ……ど、どいてください…!」

「んー それは無理」


ゴロンと少し頭を動かす先輩は、一向に退いてくれる気配すらない。


「春香ちゃんの膝枕。俺、気に入っちゃった。これはもう、俺だけの特権だね?」

「特権…なんかじゃありません」


先輩が勝手にしてるだけであって……


「と、とにかくどいてください」

「やだ」

「ちょ…智紘先輩」


肩を揺らしてみても無反応。

ど、どうすればいいんだろう……。


──不意に先輩が頭をこっちに向けて、バチッと重なる視線。


「この前の大和に頭撫でられた件を許してあげるから。…代わりに少しの間こうさせて?」