──まるで、抱きしめているのを忘れていたかのように「あっ!」と言うと、「ごめんね」そう言って、わたしを解放する。 ホッ─ や、やっと離れてくれた…… そう安堵していた矢先── 横からひょこっと顔を出した智紘先輩。 「あ、やっぱり。春香ちゃん、リップ付けてる」 「えっ!?」 ──て、今、“やっぱり”って言った……? …ということは、初めから気付かれて……? 「そのリップから桃の香りするのかなぁ」 「どっ、…どうなんですかね…。」